幻夜を読んであらためて東野圭吾の魅力がわかる

白夜行の続編といったようなネットでの紹介がされていたので、読んでみたいと思い時間がたっていた。
白夜行は、ずいぶん前に読んでいて、ドラマになる前だったように記憶している。
 
そしてようやくの「幻夜」である。
 
 
物語の始まりは、阪神淡路大震災の当日、発生直前である。父親を亡くし、通夜を行っていたその夜明けにあの震災が起こった。そして、主人公を待っていた人生とは。
 
白夜行は、誰にも言えない過去を持つ主人公二人の物語で、この幻夜も誰にも言えない過去を持つ二人の物語だった。が、読み進めるうちにその質が違っていることに気付く。
 
白夜行の雪穂が幻夜の美冬なのだろうか。雪穂は青山でブティックを開き、美冬は青山でブティックを閉めた。どんな手を使ってでもというところが両者に繋がる。
 
作者が作品に練りこんだ、このあたりの仕掛けは毎回素晴らしいものを感じる。ガリレオシリーズは有名だが、そこにはないものを感じ取ることができる。むしろ、ガリレオシリーズ意外の方が、作品の中にあっというような仕掛けを感じるのはわたしだけだろうか。
 
何気ない登場人物の人間関係がストーリー展開に重要に絡んでくる。トリックだけではなくストーリーで引き込んでくれる作者だと思う。